2007年2月19日
15:00 - 16:00
タイトル:加群の圏とアウスランダー・ライテン クィバーについて
講演者:荒谷 督司 氏 (奈良教育大学)
  有限次代数の表現論において、アウスランダー・ライテン クィバーは加群の圏を調べるときによく使われているとても重要な概念です。また、アウスランダー・ライテン クィバーは、有限次代数上の加群の圏と非常によく似た性質を持つコーエン・マコーレー環上の極大コーエン・マコーレー加群の圏にも導入されています。この講演ではアウスランダー・ライテン クィバーと加群の圏との関係について話をします。
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2007年2月19日
16:05 - 17:05
タイトル:Douglas-Bridgelandの安定性条件の空間について
講演者:石井 亮 氏 (広島大学大学院理学研究科)
  環が与えられれば,その環上の加群のなす圏を考える事ができるし, 代数多様体が与えられればその上の連接層のなす圏を考える事が出来 ます.これらの圏はアーベル圏という性質を持っています.アーベル圏に対し,その鎖複体のなす導来圏というものを考えることが出来ます.導来圏は,抽象的には三角圏と言う構造を持っています.近年,双有理幾何学,ミラー対称性等様々な観点から,代数多様体上の連接層の導来圏の具体的構造を調べることが重要になって来ています.中でも,三角圏に対して定まる「(その圏の)安定性条件の空間」という複素多様体は興味深いものです.これは,物理学者 Douglas が提唱し,数学者 Bridgeland が定式化したものです.この講演では,導来圏とその安定性条件の空間について,特に,曲面の特異点で A_n 型と呼ばれるものに関する三角圏の場合の,植田一石氏と上原北斗氏との共同研究について紹介する予定です.この圏は,いわゆる McKay 対応を圏論的に定式化する時に現れるものです.
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2007年2月16日
16:15 - 17:15
タイトル:衝突する砂丘のモルフォダイナミックス
講演者:遠藤 徳孝 氏 (金沢大学自然科学研究科)
  モルフォダイナミクスとは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、地形など、ものの形の形成や変化を、物理的なプロセスとして理解しようとする概念です。今回は、砂丘についてお話しします。実は砂丘は、じっと動かないものではありません。砂丘は、それ自体が全体としてあたかも生き物のように動き、静物でなく“動物“なのです(ただし、見る間に動くという速さではありませんが)。砂丘の形は砂の量と風向の変化の度合いによっておよそ決まりますが、なかでも上から見ると三日月型をしているバルハン砂丘(barchan dune)は最も移動性に富んだ砂丘です。バルハンは世界中の乾燥地および火星などに多く存在します。バルハンの移動速度は同じ地域で比較すると、サイズが小さいものほど速く、場所によっては年数十メートル位移動するものもあります。バルハンの移動速度はサイズに依存するので、小さく速いバルハンの風下に大きく遅いバルハンがあれば、必然的に両者は衝突するはずです。砂丘が衝突する際の振る舞いは、一つの沙漠における砂丘のサイズ分布や空間分布に関わる問題であり、ひいては砂丘群全体の時間発展を考える上でも重要です。しかし、これについての野外調査は、幾つかの困難により、皆無に近い状態です。そこで、バルハンの衝突過程の全容を調べるためのアナログ実験およびそれに基づくコンピューターシミュレーションを行ないました。これらの結果についてお話しします。尚、この研究は、谷口圭輔氏・勝木厚成氏との共同研究として遂行されました。
世話人:村越直美(物循)
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2007年2月16日
16:00 - 17:00
タイトル:Symmetric solutions of 2-dimensional Navier-Stokes equations
講演者:宮川 鉄朗 氏 (金沢大学理学部)
  流れの回転対称性が増すごとに時間・空間的減衰度が増すことを,2次元流について正確に述べ,証明の概略を示す.手法は単純かつ初等的で誰でも理解できると思う.
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2007年1月16日
15:00 - 16:00
タイトル:弾性殻の座屈:フラーレンからピンポン玉まで
講演者:好村 滋行 氏 (首都大学東京)
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2007年1月16日
16:05 - 17:05
タイトル:ナノ空間および低次元世界の水(仮題)
講演者:田中 秀樹 氏 (岡山大学)
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2006年12月19日
16:00 - 17:00
タイトル:ミラー対称性とString Duality入門
講演者:Brian Forbes 氏 (京都大学数理解析研究所)
  講演要旨 弦理論の双対性の数学への応用について論じる。主要な例は、ミラー対称性とconifold transitionである。
講演内容(予定) ①基本的な定義など ②ピカール フックス微分方程式 ③開紐 ④Conifold Transitions ⑤Topological Vertex ⑥有理曲線の局所ミラー対称性
世話人:高瀬 将道氏 氏
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2006年12月5日
13:15 - 14:15
タイトル:Spectral structure of the Laplacian on a covering graph
講演者:樋口 雄介 氏 (昭和大学)
  グラフという離散構造を持つ図形の上で,ラプラス作用素の離散版を考えると有限グラフ上では,ラプラス作用素は有限行列で表現できる.したがって,いわゆるラプラス作用素のスペクトルは有限個の固有値からなる.一方,無限グラフ上でのラプラス作用素は,有界対称作用素となるが,そのスペクトルは,一般には,固有値・絶対連続スペクトル・特異連続スペクトルで構成される.グラフ上のラプラス作用素のスペクトル(以下,グラフのスペクトル)を決定することは,無限グラフに関しては一般に”困難”であるが,有限グラフとはいえサイズが大きい行列の固有値を決定することも困難である.したがって,「グラフのもつ幾何構造とグラフのスペクトルの関係を捉えること」を目標とする:もちろんこれは「離散スペクトル幾何」の目標のひとつである.ここでは,有限グラフの正規被覆構造を持つ無限グラフを対象とする.そのようなグラフのスペクトルは,有限グラフである商グラフのスペクトル構造と被覆変換群の言葉で表現されることは自然に想像可能であるが,とはいえ,実際に決定するのは容易なことではない.しかし,有限グラフがある”組合せ的構造”を持つとき,その極大可換被覆グラフのスペクトルは,絶対連続スペクトルのみからなるという性質, もしくは,理論的可能なスペクトル存在区間を充足する(Full Spectrum Property)という性質を持つ.そのような結果を通して,「離散スペクトル幾何」の一端を紹介する予定である.
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2006年11月28日
15:00 - 16:00
タイトル:光ファイバー工学における非線形シュレーディンガー方程式について
講演者:北 直泰 氏 (宮崎大学教育文化学部)
  非線形シュレーディンガー方程式が光ファイバー工学の分野でいかに導出されるのか物理的な背景を述べたあと、初期値問題の数学的な取り扱いについて紹介します。専門外の方もいらっしゃるということですので、あまり複雑な関数空間を用いないように、出来るだけ簡単な状況設定のもとで議論を行うように努めます。時間に余裕があれば未解決な話題についても触れる予定です。
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2006年11月14日
15:00 - 16:00
タイトル:3次元球面の三角形分割の組合せ的性質と結び目の関係
講演者:八森 正泰 氏 (筑波大学大学院システム情報工学研究科)
  3次元球面の三角形分割の組合せ的な性質として,vertex decomposable, shellable, constructible という概念がある.これらは再帰的な分割可能性を問う概念で,vertex decomposable → shellable → constructibleという関係になっている.Shellabilityと三角形分割に埋め込まれる結び目の関係は古くから指摘されていたが,スピーカーとZieglerによる簡単な議論によるその拡張に端を発し,Ehrenborg, 下川らとの研究により,これらの再帰的な分割という概念が結び目の橋指数に強い影響を与えるということが分かってきた.今回はこの一連の話を紹介し,また,余裕があれば三角形分割や単体的複体の組合せ的性質に関する関連する話題や問題についても紹介したい.
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2006年11月14日
15:00 - 16:00
タイトル:Partial actions of groups on algebras and partial Galois extensions
講演者:Miguel Ferrero 氏 (Universidade Federal do Rio Grande do Sul)
  In this lecture we will introduce the notion of partial actions and give some basic results on the subject. Next we will consider partial Galois extensions.
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2006年10月17日
15:00 - 16:00
タイトル:スピニング、バドニーの写像、ヘフリガー結び目
講演者:高瀬 将道 氏 (信州大学理学部数理・自然情報科学科)
  与えられた結び目(例えば3次元空間内に埋め込まれた円周)から高次元の結び目(例えば4次元空間内に埋め込まれた球面)を作り出す方法として、スピニングという操作がある。スピニングは1925年にE. Artinによって導入されて以来、様々な形に一般化され、余次元が2の結び目の研究では不可欠な道具になっている。ここでは、余次元が3以上の結び目(例えば6次元空間内に埋め込まれた3次元球面)をスピニングを使って捉える研究を紹介したい。
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2006年10月17日
16:10 - 17:10
タイトル:有限表現型のコーエン・マコーレー局所環とその一般化
講演者:高橋 亮 氏 (信州大学理学部数理・自然情報科学科)
  有限表現型のコーエン・マコーレー局所環,つまり直既約なコーエン・マコーレー加群の同型類が有限個しかないようなコーエン・マコーレー局所環は,30年ほど前から深く研究されていて,有限表現型のゴレンシュタイン局所環は多少の仮定のもとに完全に分類されている。一方,近年注目されている全反射加群は,ゴレンシュタイン局所環上のコーエン・マコーレー加群の一般化である。この講演では,直既約な全反射加群の同型類が有限個しかないような一般の局所環について述べる。
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2006年4月24日
16:30 - 17:30
タイトル:ブロックのコホモロジーについて
講演者:佐々木 洋城 氏 (信州大学全学教育機構)
  有限群の素数標数の体上の群環の両側加群としての直既約な直和因子をブロック・イデアルと呼んでいる。その中でも、特に、自明な加群を零化しないブロックのことを主ブロックと呼ぶ。従来のコホモロジー理論はこの主ブロックとその上の加群を扱うものであったが、Linckelmannは一般に「ブロック・イデアルのコホモロジー環」を定義した。ここではブロック・イデアルのコホモロジー環とホッホシルト・コホモロジー環との関係について考察したい。
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室