2008年9月19日
15:00 - 16:00
タイトル:凸でないポテンシャルを持つ∇φ界面モデルに対する共分散の減少、エルゴード成分の一意性およびスケール極限
講演者:Jean-Dominique Deuschel 氏 (ベルリン工科大学)
  We consider a gradient interface model on the lattice with interaction potential which is a non-convex perturbation of a convex potential. Using a technique which decouples the neighbouring vertices sites into even and odd vertices, we show at high temperature: the decay of covariances, uniqueness of ergodic component for ∇φ-Gibbs measures and the scaling limit.
世話人:乙部 厳己 氏
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2008年12月10日
15:00 - 16:00
タイトル:フロベニウス代数について
講演者:星野 光男 氏 (筑波大学数学系)
  体上のフロベニウス代数の概念について説明し、それが身近に存在すると云う例を幾つか挙げる。また、有限次元ベクトル空間上の非退化双線形形式とフロベニウス代数との対応について解説する。
世話人:西田 憲司 氏
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2009年1月29日
16:00 - 17:30
タイトル:多元環上の加群のsupport variety
講演者:飛田 明彦 氏 (埼玉大学教育学部)
  有限群のモデュラー表現論において, 加群の多様体の理論はBenson, Carlsonを中心とする研究により大きく発展してきました。そして, それらの結果に触発され,可換環や有限次元多元環, あるいは圏論的な枠組みでの類似の構成や一般化が研究されています。講演では, 有限群の表現での加群の多様体の理論の概略を述べ, また, 最近の話題として, Hochschild cohomologyを利用した有限次元多元環への拡張について紹介します。
世話人:栗林 勝彦 氏
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2009年2月18日
13:30 - 15:00
タイトル:ゴレンシュタイン代数における導来同値とセール双対,そしてカラビーヤウ代数
講演者:星野 光男 氏 (筑波大学数学系)
  先ず、基礎環上余次元cのゴレンシュタイン代数を定義し、それが後藤ー西田の意味でのゴレンシュタイン代数であることを示す。次に、代数幾何におけるセール双対の概念をネター代数に拡張し、それを用いて、クルル次元有限のゴレンシュタイン代数を特徴づけ、更に、ある条件の下で、ゴレンシュタイン代数がカラビーヤウ代数になることを示す。また、ゴレンシュタイン代数上の傾斜鎖複体に対して、その準同型環がゴレンシュタイン代数になるための必要十分条件をセール双対の言葉で記述する。
世話人:西田 憲司 氏
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2009年3月4日
15:30 - 16:30
タイトル:自由作用を仮定しない圏の被覆理論と導来同値
講演者:浅芝 秀人 氏 (静岡大学理学部)
  以下,可換環 k を一つ固定し,圏および関手はすべてk線型と仮定する.群Gが圏Cに単準同型 G → Aut(C) (:= Cの自己同型群)で作用しているとする.従来,Gの作用はC(の対象)に自由に作用しているものと仮定されていたが,ここではこの自由作用は仮定しない.それは,GのCへの作用が自由であっても,それから自然に導かれる Mod C や K^b(prj C) への作用が自由にならない場合があるため,自由作用の仮定なしで,従来の結果が導かれれば非常に便利であるからである.ただし,Mod C は,右C加群(すなわち,C からk加群の圏への反変関手)のなす圏で,K^b(prj C) は,有限生成射影的C加群の有界複体のなす圏である.(1) キーポイントは,G被覆関手F : C → C' という概念を導入し,これを特徴づけることにある.これにより,CからC' が C' = C/G (軌道圏)として構成でき,逆にC'からCが C = C' # G (smash product)として構成できることが分かる.副産物として,Cを”弱G同変”な圏 (C/G)#G に取り替えることによりG作用を”自由化”できることが分かる.(2) また,Fの引き上げ(pull-up)と押し下げ(push-down)を調べ,それによりMod C と Mod C' が相互に記述しあうことを示す.特に,押し下げ関手は前G被覆関手 K^b(prj C) → K^b(prj C')を導く.これの応用として,(Gの K^b(prj C) への作用が自由でなくても)C と 圏D の間の弱G同変な導来同値からC/G と D/G の間の導来同値が導かれることを示すことができる.(3) 以上は,GがCの自己同型群を通して作用する場合であるが,自然同型を法とするCの自己圏同値全体のなす群を通して作用する場合でもGが巡回群であるときには,そのままでは定義できない軌道圏(重要な例としてクラスター圏がある)を定義するには,その代わりに”余極限軌道圏”を用いればよい,ということがやはり副産物として得られる.
世話人:高橋 亮 氏
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室