2012年1月29日
3:00PM - 4:00PM
タイトル:ヤング図形の関わる数え上げ組合せ論
講演者:沼田 泰英 氏 (信州大学理学部数理・自然情報科学科 )
  アブストラクト:情報紛失のため確認中
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2012年1月18日
3:00PM - 4:30PM
タイトル:自然の中の左巻きと右巻き  -磁気電析の話題を中心にして-
講演者:青柿 良一 氏 (職業能力開発総合大学校 名誉教授,物質・材料研究機構 リサーチアドバイザー )
  この世の中には大きなものは渦巻き銀河から始まり,小さな ものは素粒子のスピンに至るまで,何らかの回転または回転 運動に関係する現象が広く存在しています。ところで回転や 回転運動の左巻きと右巻きはどのように判別したらよいでし ょうか。このような問題において重要な役割を担うのが 磁場です。 本講演では、様々な自然現象における左巻きと右巻きの問題と, 磁場中での電気化学的結晶成長との関連をわかりやすく解説 します。
キーワード:回転運動,磁場,キラル対称性,自己組織化,光学活性触媒
講師の研究分野:磁気電気化学,物理化学
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2012年12月7日
4:20PM - 5:50PM
タイトル:ナミテントウの個体群動態  -変動する餌資源を利用する捕食者の生活史特性-
講演者:大澤 直哉 氏 (京都大学大学院農学研究科 )
  時間的空間的に変動する餌資源を利用するナミテントウ野外個体群の機能の反応と数の反応を調べるために,ナミテントウ野外個体群の調査を3年間おこなった。個体群パラメーターから,移動移出が多い個体群の特徴を示すものの,春世代と夏世代間の個体数は極めて安定していた。生息場所内での移動は活発であり,短距離の移動と長距離の移動を繰り返しながら,生息場所内のアブラムシ密度が高い好適な生殖場所に飛来し,好適な場所に集中して産卵が見られた。生命表解析から,幼虫期の死亡が主要な個体群であり,多くの死亡要因は,密度依存的に起っていた。ナミテントウは卵塊で産卵し,卵塊内で孵化時期に卵の共食いがほとんどの卵塊で起る。この卵の共食いを2令までの生存率で評価したとこころ,餌密度が低いときに,食う側,食われる側双方に適応的であり,母親にとっても不利益をもたらさず,共食いは極めて起りやすいものと考えられた。さらにこの共食いは,共食いした幼虫個体のサイズを大きくし,令期間を短縮しており,共食いの効果は,メス幼虫よりもオスの方が高いことが示された。成虫の高い移動分散能力と好適な生息場所への飛来・産卵が集中するにもかかわらず,幼虫期の強い密度依存的な死亡,共食いによる生存する確率の高い幼虫個体への資源の再配分,という2つの個体群機構により,変動する餌条件下で,安定した個体群を維持しているものと考えられた。
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2012年11月13日
3:30PM - 5:00PM
タイトル:グルーオン散乱振幅と極小曲面
講演者:伊藤 克司 氏 (東京工業大学大学院理工学研究科 )
  グルーオンは, 陽子や中性子を構成するクォークを結びつける強い相互作用をもたらす粒子である。この相互作用はSU(3)ゲージ理論で記述され, 素粒子の標準模型として高い精度で検証されている。しかしこのゲージ理論は低エネルギーでは強結合になり理論の解析が非常に困難になる。最近,ボソンとフェルミオンを結びつける超対称性をもつゲージ理論の強結合領域の物理が,曲がった時空上で定義された超弦理論の弱結合の物理と関係していることがわかってきた。この関係をゲージ重力対応またはAdS/CFT対応という。グルーオン散乱振幅と反ド・ジッター時空内の極小曲面の対応は, この対応の新しい例である。その研究の過程で,2次元の可積分な場の理論,共形場理論やY-系等の2次元可積分系との思いがけない関係が表れる等,グルーオン散乱振幅が数理物理的に見て興味深い研究対象であることが明らかになってきた。
 この講演ではAdS/CFT対応の紹介からはじめ,グルーオン散乱振幅の構造と極小曲面の関係,さらに極小曲面の面積の評価と熱力学的ベーテ仮説との関係等について説明したいと思います。
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2012年10月31日
4:20PM - 5:50PM
タイトル:確率と統計と地震予測
講演者:尾形 良彦 氏 (統計数理研究所 )
  地震予知に関する一般の期待はあまりに過大で,その現状に対する失望や諦めはあまりに大きすぎる。この半世紀の固体地球科学の目覚ましい発展のおかげで,地震現象に関する我々の知識は著しく増加した。データも飛躍的に増えて地球物理学としての地震の研究は目覚ましく進んだ。大地震のたびに,どういう仕組みだったのかということが次々と解明されてきた。にもかかわらず,社会の強い要請である大地震の予測に関しては,その研究の展望すら与えられることができていないと考えられている。
その他情報:【講演者からのコメントはこちら】演者は縁あって,生涯この課題に取り組むようになった。この分野における独自の道を探って,一歩でもこの問題の解決に貢献するべく長年研究を積み重ねてきた。が,そろそろ人生の終焉を意識し,限られた課題を進めるしかない年齢になった。本講演では信州大学理学部の学生の皆さんに,地震予測の難しさの本質を実感していただき,その上で地震予測に向けた展望をお話ししたいと考えています。 本講演が直接役立つとは思いませんが,将来独自の分野で活躍される皆さんにとって,何かの参考となるようなことがあれば幸いです。

会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室


2012年7月19日
4:30PM - 5:30PM
タイトル:On Wentzell-Freidlin Method with Applications to Evolutionary Games
講演者:周雲雄 氏 (台湾中央研究院數學研究所 )
  Wentzell-Freidlin gave an explicit formula, in terms of spanning trees, for the invariant probability measure of an irreducible, finite-state Markov chain. The formula becomes useful in case a small parameter is involved in its transition probability matrix. As an example, it can be applied to evolutionary games, where the small parameter means the mutation rate or the probability of making error.
【和訳】ヴェンツェル・フレイドリン法とその発展的ゲームへの応用について ヴェンツェルとフレイドリンによって既約な有限状態マルコフ連鎖の不変測度 をスパニング・ツリーによって与える公式が与えられているが、これは遷移確率行 列のパラメータが小さい場合に便利である。例として発展的ゲームにこれを応用 してみる。この場合にはパラメータは突然変異率あるいは誤り確率と解釈できる。
会場:理学部A棟4階 数理自然情報合同研究室