2019年1月25日(金)[2018年度第8回数理科学談話会]
16:00 - 17:00
磁性材料の高周波特性評価
講演者:小野寺 礼尚 氏
(茨城工業高等専門学校)
身の回りで広く使われている磁性材料であるが、直流・交流磁場下ではそれぞれ異なる特性を示す。特に交流磁場下では時間変動する磁場強度によって誘起される渦電流損失の影響が非常に大きい。この損失を利用する応用例として、磁性ナノ粒子によるガンの温熱治療がある。本講演では、磁性材料の基礎から始め、交流磁場下での磁性材料の応用例、および、そのための磁性材料の特性評価手法について簡単に紹介する。
キーワード:磁性材料,磁気ヒステリシス,交流磁場
講師の専門分野:金属材料,磁性材料,強磁場応用
世話人:浜崎亜富 (理学系)
会場:数理・自然情報合同研究室 (理学部A棟4F西端)
2019年1月9日(水)[2018年度第7回数理科学談話会]
16:20 - 17:50
光を使った分子計測とその大気・陸域環境研究への応用
講演者:高橋 けんし 氏
(京都大学生存圏研究所)
わたしは以前、気相分子の素反応を速度論やダイナミクスの観点から研究をしていました。その後、自身の考え方や学界の変化に伴い、現在では森林に分け入ってダニに刺されそうになったり、地上23階にそびえる電波塔に上って足が諤々震えたり、というような研究生活です。自分でもこの散らかり具合はどうかと思うことはありますが、キャリアを通じて一貫しているのは「光を使って分子を計測する」という点です。わたしのように未熟な理解力では高等な数学を語ることはできませんが、光を使った分子計測の根底にある物理化学的理論と、その応用例をご紹介したいと思います。
キーワード:分子分光,レーザー,光計測,大気環境,陸域生態
講師の専門分野:環境学
世話人:岩田 拓記 (理学系)
会場:数理・自然情報合同研究室 (理学部A棟4F西端)
2018年11月29日(木)[2018第6回数理科学談話会]
16:30 - 18:00
自由超平面配置の加除定理の組み合わせ依存性
講演者:阿部 拓郎 氏
(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
超平面配置とは、ベクトル空間中の超平面の有限集合であり、それが自由であるとは対応する対数的ベクトル場という代数が自由加群になる時にいう。自由配置構成において最も有用な結果は寺尾宏明氏による加除定理(1980年)であり、この定理は適用するために三つの代数的条件が必要であった。本講演ではこの定理が一つの代数的条件+一つの組合せ論的条件で適用可能であることを示す。結果として自由配置へ超平面を、自由性を保ったまま加除できるかどうかは完全 に組み合わせ論にのみ依存することが示される。
世話人:沼田泰英 (理学系)
会場:数理・自然情報合同研究室 (理学部A棟4F西端)
2018年10月30日(火)[2018年度第5回数理科学談話会]
15:30 - 17:00
深層学習:その進展と理論的な謎
講演者:瀧 雅人 氏
(理化学研究所)
この数年、AI技術に対し世間の注目が注がれています。漠然とAIとはいうものの、
深層学習という特定の統計的機械学習モデルが爆発的に発展したというのが実態です。
世間はまだブーム期にとどまっていますが、実際には我々の日々の生活の背後で深層学習が
活用される時期にすでに突入しています。
この講演では深層学習の基本的な仕組みを紹介した後、これまでになされてきた様々な印象的な
成果を紹介します。また、実際に深層学習のモデルが動作するところをデモンストレーションします。
深層学習の飛び抜けた性能は実験的には疑いはないのですが、「なぜ深層学習が特殊であるのか」
という問いは未だに理論的に解けていません。そこでいくつかの理論的なquestionsと、それを解決しようという
試みについても紹介します。
キーワード:機械学習・深層学習
講師の専門分野:素粒子理論・機械学習
会場:数理・自然情報合同研究室 (理学部A棟4F西端)
世話人:奥山和美 (理学系)
2018年7月18日(水)
16:30 - 18:00
Spectral Continuity for Aperiodic Quantum Systems
講演者:Giuseppe De Nittis 氏
(Pontificia Universidad Católica de Chile)
How does the spectrum of a Schrödinger operator vary if the
corresponding geometry and dynamics change? Is it possible to define
approximations of the spectrum of such operators by defining
approximations of the underlying structures? In this talk a positive
answer is provided using the rather general setting of groupoid C
*-algebras. A characterization of the convergence of the spectra by
the convergence of the underlying structures is proved.
In order to do so, the concept of continuous field of groupoids is
used. The approximation scheme is expressed through the tautological
groupoid, which provides a sort of universal model for fields of
groupoids. The use of the Hausdorff topology turns out to be
fundamental in understanding why and how these approximations work.
The construction presented during the talk is adapted to the case of
Schrödinger operator with Delone potential (i.e. quasi-crystals).
The talk is based on a joint work with: S. Beckus and J. Bellissard
会場:数理・自然情報合同研究室 (理学部A棟4F西端)
2018年6月6日(水)[2018年度 第3回 数理科学談話会 (数理経済談話会 との共催)]
16:30 - 18:00
契約つき多対多マッチング問題における安定マッチングの存在について
講演者:坂東桂介 氏
(信州大学 経法学部)
ゲーム理論の一分野であるマッチング理論を紹介する。マッチング理論は、男性と女性、研修医と病院などの二つの異なる集団の間の望ましい組み合わせを見つけることを目的とする。望ましさの代表的な基準として安定マッチングがある。これは、結婚問題を例にいえば、現在の結婚相手よりもお互いに好ましいと思いあう男女ペアがいないマッチングである。本報告では契約付き多対多マッチング問題と呼ばれるモデルにおける安定マッチングの新たな存在条件を紹介する。
会場:数理・自然情報合同研究室 (理学部A棟4F西端)
2018年5月14日(月)[2018年度 第2回 数理科学談話会]
16:20 - 17:50
複雑なグラフの上のランダムウォークの諸性質について
講演者:岡村和樹 氏
(信州大学 全学教育機構)
複雑な空間の上の確率過程の研究の元来の動機は, ポリマーなどの不均質な媒質の上の熱拡散の様子を数学的に厳密に解明することにあった. 複雑なグラフの典型例としてパーコレーションの無限クラスターがある. その上のランダムウォークは「迷路の中のアリ」と呼ばれる複雑な対象であるが, Sierpinskiガスケットなどのフラクタル上での確率過程の研究で培われた手法を適用することで近年進展している. 本講演では,
(1) 無限連結グラフ上のランダムウォークのある時刻までの訪問点の個数に対する大数の法則
(2) 相関を持つパーコレーションの無限クラスター上のランダムウォークの, 素朴なものより高いレベルの(プロセスの経験分布に対する)大偏差原理を中心に話す.
世話人:筒井容平
会場:数理・自然情報合同研究室 (理学部A棟4F西端)
2018年5月11日(金)[2018年度 第1回 数理科学談話会]
16:30 - 18:00
ブール束について
講演者:渡辺純三 氏
(東海大学名誉教授)
ブール束は、現代数学の基本概念の一つである。これが数学の色々な分野に登場しその役目を果たす。また、それ自体が興味深い研究対象となる。この談話会では、ブール束の様々の側面を紹介し、今までに知られている基本定理と、その歴史、また、それに関連した話題を紹介したい。
キーワード:Sperner Theory, Lefschetz property, Dilworth Theorem,
Marriage Theorem, Lie algebra sl(2), 対称群とその表現、終結式
会場:数理・自然情報合同研究室 (理学部A棟4F西端)