群論と対称性
第 6 回 計算機の更なる利用について

Knoppix/Math DVD を利用することによって、 多くの数学ソフトウェアを手軽に利用できることが理解できたことと思う。 しかしながら専門的な用途に使うためには、更によい環境を構築する必要がある場合も少なくはない。 例えば GAP でパッケージを利用するには Knoppix/Math DVD はよい環境とは言えない。 また個人の設定を保存することも難しい。 より本格的に利用するには、以下に説明する方法などで新たな計算機環境を用意するとよいであろう。

Virtual Machine の利用

Knoppix/Math は、起動用の DVD の他に Virtual Machine 用も用意されている。 このためには、MS Windows の環境ならば VMWare Player という無償のソフトウェアを利用する。 導入方法は Virtual Machine 用の DVD を入手すれば、その中に書いてある。 これによって、ソフトウェアのアップデートや追加インストール、個人環境の保存、などが出来るようになる。 しかしながら、データを PC に保存するため、大学と自宅で同じ環境で利用することはできなくなり、 PC のハードディスクにそれなりに大きな容量が必要になる。 Windows 上のアプリケーションとして VMWare を起動し、更にその上で Knoppix を起動することになるので、 パフォーマンスも低下する。 それなりに高性能な PC でないと、実用には向かない。

デュアルブート環境の構築

MS Windows などのインストールしてある PC に適当な Linux ディストリビューションをインストールする方法である。 起動時に MS Windows か Linux かを選択して起動する。 3 つ以上の OS をインストールすることも可能である。 手軽なものには、ユーザー数が多く情報が多い UBUNTU などがある。 インストールするためにはハードディスクに専用のパーティションを用意するか、または外付けハードディスクを新たに用意する必要がある。 Knoppix をハードディスクにインストールすることも出来ると思うが、私はやったことはない。 UBUNTU などを利用するときには、数学ソフトウェアがインストールされていないので、 必要なものを自分でインストールする必要がある。 UBUNTU では GAP, maxima などはパッケージマネージャから簡単にインストールできるが、 ソフトウェアによっては自分でコンパイル必要があったりするので、それなりに知識が必要になる。

USB ハードディスク、USB メモリへの Linux のインストール

デュアルブート環境の構築とほぼ同じであるが、USB ハードディスクや USB メモリなどのリムーバブルメディアにインストールするので、 (起動さえ出来れば) 違う PC でも同じ環境で利用できる。 手軽なのは USB メモリであるが、それなりに大きな容量が必要になることと読み書きの速度を考えると、 USB ハードディスクの方が快適である。

とりあえず使って見るには DVD からの起動で十分であるが、本格的に利用するのであれば上記の方法などを検討するとよいであろう。


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Akihide Hanaki (Shinshu University)