私の研究では計算のために GAP を多用する。 このため、学生も自分の PC で GAP を利用できるようにすることがある。 ここでは UBUNTU に GAP をインストールする方法を解説する。 自分で make する方法は、他の Linux でも同様である。 あとで MS Windows へのインストールも簡単に説明する。
コマンドラインから
sudo apt-get install gap-coreとするだけで利用することができる。 GAP のバージョンはやや古いことが多いが、通常の利用には問題はない。 いくつかのパッケージも用意されており、例えば grape ならば
sudo apt-get install gap-grapeとすればよい。(synaptic などを使うと管理が楽である。) 用意されていないものを使うには、説明に従ってパッケージを自分でインストールする。
最新の GAP を利用したい、apt-get では用意されていないパッケージを利用したい、 自分の利用しているディストリビューションでは GAP のパッケージがない、 などの場合は自分で make する。
まずは GAP のホームページからファイルをダウンロードする。 ファイル名は gap4r8xxx.tar.gz としよう。 (xxx にはバージョン番号などが入る。バージョン番号などの違いは適宜読み替えてほしい。 .tar.gz, .tar.bz2, .zip があるが、ここでは .tar.gz を利用することにする。) ダウンロードしたファイルは /home/yyy/Downloads にあるとしよう。
以下の作業はすべて端末で行う。
cd /usr/local/lib sudo tar zxvf /home/yyy/Downloads/gap4r8xxx.tar.gz cd gap4r8 sudo ./configureここで「m4 がない」というエラーが出ることがある。この場合は
sudo apt-get install m4で m4 をインストールし、もう一度 ./configure を実行する。続けて
sudo makeしばらく待てば make が終わり GAP が利用可能になる。 しかしこのままでは使いにくいので、いくつかの設定をする。
cd /usr/local/bin sudo ln -s /usr/local/lib/gap4r8/bin/gap.sh gap cd /usr/local/lib sudo chmod a+rX -R gap4r8これで通常のユーザーも GAP を簡単に利用できるようになる。 端末から
gapとして、問題なく起動できるか確認しよう。
/usr/local/lib/gap4r8/pkg を見ると、多くのパッケージが用意されていることが分かる。 この状態で利用できるものもあるが、いくつかのパッケージは更に準備が必要である。 何をする必要があるのかは各パッケージのディレクトリにある README などを見れば分かる。 ここでは、例として grape について説明する。
grape を利用するにはコンパイルが必要である。
cd /usr/local/lib/gap4r8/pkg/grape sudo ./configure ../.. sudo make sudo chmod a+rX -R ./*コンパイルが必要な多くのパッケージで、これとほぼ同じ作業をすればよいが、 詳しくはマニュアルで確認するといいだろう。
GAP のホームページから Windows 用のファイルをダウンロードする。 いくつかの種類のファイルが用意されているが、インストーラーになっている .exe ファイルを利用することを勧める。 このファイルを実行し、指示に従えばインストールは終わる。 実行は Windows のメニューから gap を選べばよい。
Windows にインストールしたときは、いくつかのパッケージはバイナリで与えられており、 基本的にはそのままで使える。 バイナリで与えられていないものを使うのは大変と思われる。 c:\gap4r8 のサイズは 1.6 GB ぐらいである。 ファイルの読み書きはディフォルトでユーザーディレクトリ (c:\Users\<<ユーザー名>>\) に設定される。
Akihide Hanaki (2016/12/26)