UBUNTU のインストール

無料で使える多くの有用な数学用のソフトウェアがあるが、 MS Windows で使えるものは限られており、 その多くは unix 系の OS での利用のほうが便利である。 そこで unix 系の OS で個人の PC への導入が最も簡単な Linux を利用することを考える。 Linux には多くのディストリビューションがあるが、ここではユーザー数も多くなり情報が豊富に得られる UBUNTU を利用する。

UBUNTU を個人の PC (Windows マシン) で利用するには次のような選択肢がある。

  1. ディスク全体を使う (MS Windows は利用できなくなる)
  2. ディスクを分割して、MS Windows と UBUNTU を入れる (デュアルブート:起動時に選択)
  3. MS Windows に VirtualBox などを利用して仮想マシンとして UBUNTU をインストールする
  4. 外付け HDD (ポータブル HDD, USB メモリなども可) に UBUNTU をインストールする
  5. Live DVD を利用する
1, 2 は Windows マシン自体に変更を加えることになるので、ここではお薦めしない。 また 5 はソフトウェアのインストール、アップデートができないことに加え、データの保存にも不便なので、 これもお薦めしない。 3 は PC が十分に高性能ならば最もお薦めする方法であるが、性能が高くないと重くて使い物にならないこともある。 ここでは 4 の方法を説明する。 USB メモリでも可能であるが、8GB 程度だと容量が不足して不便を感じることもあるであろう。 現在の最も良いと思われる選択肢はポータブル HDD (または SSD) の利用である。 ディスク容量は 100GB もあれば十分と思われるが、後からサイズを変更することは難しいので、 余裕があるならば 200GB もとっておけば良いと思う。 以後、ポータブル HDD に 100GB 程度のパーティションを用意して、 そこに UBUNTU をインストールすることを想定して、注意点などを簡単に説明する。

用意するもの

  1. ネットワーク接続でき、USB ブート可能な PC
  2. イメージファイルを書き込むことができる DVD ドライブ
  3. ポータブル HDD

インストール

操作を誤ると Windows が起動しなくなったり、 場合によっては Windows が消えてしまうこともある。 データのバックアップをとり、 また Windows の再インストールの出来るようにリカバリ DVD などの準備をしてから作業することを薦める。 PC の機種によっては USB HDD からの起動に問題があるようである。 そのような場合には 仮想マシンの利用などを検討しよう。
  1. イメージファイルのダウンロード

    UBUNTU のインストール DVD を作成するために、書き込むファイルをダウンロードする。 すでにディスクがある場合には不要である。 UBUNTU は年に 2 回、4 月と 10 月にバージョンアップされる。 バージョンには通常版の他に長期サポート版 (LST) があり、通常版のサポート期間が 9 ヶ月なのに対して、 長期版のサポート期間は 5 年間である。 普通は最新版を利用すればいいが、安定して同じ環境を使い続けたいならば LTS を選択してもよい。 2014 年 10 月現在の最新版の LTS は 14.04 である。 イメージファイルは UBUNTU Japanese Team のホームページからダウンロードできる「日本語 Remix」をお薦めする。 64bit 版と 32bit 版があるが、ホームページの記述によるとメモリが 2GB 以下の場合には 32bit 版がよいとのことである。

  2. インストール DVD の作成

    ダウンロードしたイメージファイルを DVD に書き込む。

  3. UBUNTU のインストール

    ポータブル HDD を接続し、作成した DVD でブートすれば UBUNTU が起動する。 「UBUNTU を試す」、「UBUNTU をインストールする」の選択が出るので、「インストールする」を選ぶ。 試して見たければご自由に。

    指示に従って作業すればインストールは難しくないが、注意することがいくつかある。 操作を誤ると MS Windows が起動できなくなったり、すべてのデータが消失したりするので、慎重に。

    再起動するようにメッセージが出るので、DVD を抜いて再起動する。 USB からブートすればインストールした UBUNTU が起動する。 もし HDD から起動できないときはここなどを参考にしていろいろと試してみよう。

    最近の PC や HDD では USB HDD からのブートに問題がある場合が多いようである。 その場合には VirtualBox などを利用して、仮想マシンで UBUNTU を動かすことを考えるとよいであろう。 (2017/05/03 追記)

インストール後にすること (必須ではない)

  1. xubuntu の利用

    UBUNTU でディフォルトで採用されているウインドウマネージャは unity というものだが、 これがとても重い。 私はいつも xfce という軽量版に入れ替えて使っている。 最も簡単な方法は terminal から

      sudo apt-get install xubuntu-desktop
    とする方法である。 パスワードを聞かれ、更にインストールするか聞かれるので、それに答えて、インストールしよう。 それなりに時間がかかる。

    インストールが済んだら、一度ログアウトする。次に「xubuntu セッション」を選択してからログインすれば、 xfce をウインドウマネージャとして起動する。もとの方が良いならば「ubuntu セッション」を選択すれば良い。 (他の選択肢もあるが、私のお気に入りは xubuntu である。)

  2. ディレクトリ名を英語表記に

    ホームディレクトリにははじめから「ドキュメント」などのいくつかのディレクトリが作成されているが、 これが日本語表記なのは利用上不便である。そこでこれを英語表記に換えるために terminal から

      LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update
    とし、ログインしなおせばよい。

  3. 他のソフトウェアのインストール

    UBUNTU にソフトウェアを追加するには xubuntu のときに行ったように apt-get install を行えばよいが、 名前が分からないと使えない。簡単な方法は「ubuntu ソフトウェアセンター」を利用することである。 簡単な説明がついており、メニュー形式でインストールしたいものを選ぶことができる。 Web ブラウザ FireFox, メーラー Thunderbird, C コンパイラ gcc, MS Office 互換のオフィススイート LibreOffice などはディフォルトでインストールされている。

    以下で、いくつかの有用なものを紹介する。

    他にも dropbox, google chrome, などなど、有用なものは多くあるので、お好みでどうぞ。 逆に、不要なソフトウェアはディスクを圧迫するだけでなく、不必要なアップデートなども行われてしまうため、 分かる範囲で適当に削除しておくといいだろう。


日常の管理

プログラムを常に最新の状態にするために、以下のコマンドを実行する。

  sudo apt-get update
  sudo apt-get upgrade
アップデートがあるとメッセージが表示されるので、それに従ってもよい。 kernel の更新は
  sudo apt-get dist-upgrade
再起動が必要になる。ディストリビューションのアップグレードは
  sudo do-release-upgrade -d


起動しない - そんなときは

インストールは成功したように思えるのに HDD から起動できないときは、 いくつかの原因が考えられるので、色々と試してみよう。 以下によくある原因とその対処法について簡単に説明する。

他にも、32bit 版や違うディストリビューションを試すなど、いくつかの方法が考えられるが、 どうにもならないこともあるようである。


ここで説明したことは ubuntu を利用するための最小限のことで、ubuntu でできることのほんの一部である。 興味がある人は自分で調べて、もっと便利に ubuntu を利用して欲しい。

Akihide Hanaki (Shinshu University), 2017/05/03