一般確率論(General Probabilistic Theories)とは, 確率を操作論的に最も一般的に扱う枠組みである. 状態の混合準備などの自然な構造を入れると,ある局所凸位相ベクトル空間が存 在し, 状態空間は(コンパクト)凸集合で,測定はそれ上のアフィン汎関数で記述される. 一般確率論の歴史は古いが,近年, 量子情報理論を拡張する方向で, 一般確率論を土台とした情報理論の構築の試みが始まっている. その主な目的は,様々な情報処理の本質や個々の関係を探ること, また,物理学の未解決問題の一つである「量子力学の物理原理を探す」ことである. 本セミナーでは,一般確率論のレビューからはじめ,量子力学の基本的単位となる 量子ビット系を幾つかの原理から導出する試みについて話す.