光ファイバーや電子回路、神経経路などのネットワークを背景として、 グラフ上のハミルトニアンについてはそのスペクトルを始めとして さまざまな研究がなされてきた。 近年、ナノチューブなどの微細な構造を対象として Quantum waveguide と呼ばれる分野の研究が活発になってきている。 これはパラメータつきの帯状領域がだんだん細くなりながら グラフに収束していくとき、領域上のある境界条件を備えた ラプラシアン(シュレディンガー作用素)がグラフ上のどのような作用素に 近づくかを考察する分野である。 特に領域上の熱方程式の解がグラフ上の関数へ収束する話題を中心に 知られている結果について説明する。 また、領域の縮め方によってはグラフ上のシュレディンガー作用素の 性質が収束の様子に大きく関わってくることも紹介したい。