多書体化の基本
ここではまず TeX の文書を処理して印刷に至るまでの大まかな流れを眺めてみたいと思います。これは大きく次の二つの段階に分けられます。
- エディタなどで作成した tex 文書をコンパイルし dvi file
を作成する。
- コンパイル結果が保存されている dvi file
をもとに各種装置に適したイメージを作成し出力する。
前半は tex や latex
コマンドを実行するところで殆ど一本道だと思います。一方この後半の段階は「各種装置」に応じて様々な場合に分けられます。例えば
- dvi file -(xdvi)-> ディスプレイ
- dvi file -(dvips)-> PostScript file -(gs)-> ディスプレイ
- dvi file -(dvips)-> PostScript file -(lpr)-> PS printer
- dvi file -(dvips)-> PostScript file -(gs)-> 適当なデータ形式のファイル -(lpr)-> そのデータ形式を解釈出来るプリンタ
などが挙げられます。括弧内に書いてあるのはその段階で使用される主なコマンドですが、これ以外の方法もあり得ます(例えば dvips
の代わりに dvi2ps や jdvi2kps などを使っても良い)。
多書体化を行う上で重要なことは、この各段階でどのようなフォントファイルを必要とするかという点です。これを少し考えてみます。
- コンパイルの段階で必要とされるのは tfm (TeX FontMetric)
ファイルです。この「フォント」ファイルには各文字の大きさ、カーニング、リガチャーなどの情報が含まれており、TeX
はこの情報を使って文字をきれいに並べて行く「植字」作業を行っている訳です。注意すべきはこの作業には文字のイメージは必要ではないという点です。実際 tfm
ファイルにはその名の通り文字のイメージは全く含まれていません。謂わば
TeX は文字の枠だけを並べる作業を行っていることになります。
- 枠だけが並んでいる dvi file
から実際のイメージを作り出す(または出力装置がイメージを作れるようなデータ形式に変換する)のは xdvi や dvips
などの dvi driver の役目です。この段階では多くの場合実際にフォントイメージを含むフォントファイルが必要になります。代表的なものに pk
フォント、PostScript Type1 フォント(pfa,pfb)、TrueType
フォントなどがあります。pk
フォントはビットマップフォントで出力装置の解像度に応じたフォントを準備する必要があります。他の二つはアウトラインフォントです。
実際には dvi file から直接にイメージを得ることは少なく(xdvi
くらい)、殆どの場合は dvips
などにより一旦 PostScript
に変換し、これを直接出力するか、或はさらに gs
などにより変換した上で出力することになると思います。従って適当なフォントを使って文書を組版したい場合には次の二つの問題を解決すれば良いことになります。
- コンパイルに必要となる tfm ファイルを用意すること。
- PostScrpt から参照出来るようなフォントイメージを何らかの手段(VFlib
など)を使って供給すること。
ここでは VFlib を利用します。
Last modified: Thu Nov 25 13:29:55 1999