2013年8月9日(金)から10日(土)の日程で信州大学 理学部 数理・自然情報学科にて, 情報科学と離散数学をテーマとした研究集会を行いますのでご案内致します.
純粋数学が実際に応用され使われている研究分野の一つとして, 広い意味での情報科学があります. 本研究集会は, 特に, 情報セキュリティと関連する もしくは 今後関連する可能性のある離散数学の話題について知ることで, 研究の視野を広げ, 新しい研究の可能性を探ることを目的として行います.
なお, この研究集会は, 信州大学 学長裁量経費 「対称性および場の数理とその相互作用:信州数理科学研究センター特別重点研究」 からの援助を受けております (参考: 信州数理科学研究センター).
会場は, 信州大学 理学部 A棟4階 401号室 (数理・自然科学合同研究室) の予定です. 信州大学までのアクセスなどについては, こちらをご覧ください.
なお, 10日は土曜日のため, 建物は基本的に施錠されておりますが, 理学部A棟正面の自動ドアは開く予定ですので, そちらから会場へお越しください.
本発表では、情報理論・符号理論を応用した セキュリティ技術のひとつ「秘密分散法」についての最新の成果として、 線形符号を基とした秘密分散法の安全性が、 利用する符号のパラメータによって完全に記述できることを示す。 まず、 任意のm個のシェアと秘密の間の相互情報量の最大値は、 符号の m-th relative dimension/length profile によって記述できることを示す。 また、秘密分散法の安全性を示す2種類のしきい値、 (1) シェアの選び方によらず秘密に関する情報が一切得られないシェア数の最大値、 ならびに (2) シェアの選び方によらず秘密が常に復元可能なシェア数の最小値が、 ともに符号の相対一般化ハミング重み (relative generalized Hamming weight) で記述できることを明らかにする。 Chenらによる安全性解析では、 符号の最小ハミング重みを用いて しきい値 (1) の上界と しきい値 (2) の下界 を導出しているが、 今回の結果は、 常にしきい値の上限と下限を与えている。 さらに、 山本による「強い安全性を有するランプ型しきい値法」の定義を一般化し、 α 個以下の任意のシェアからは 秘密ベクトルの一要素足りとも明らかにできないことを保証する「 α 強安全性」 という新たな安全性尺度を定義する。 そして、 α の値も 相対一般化ハミング重みによって記述できることを示す。
実平面中の、原点を通るn本の直線からなる図形を考える。 これに、新しく直線を一本付け加えると、 その上に交点はいくつできうるだろうか? これは高校数学で証明ができ、 答えは1本、n-1本、n本のいずれかである。 つまり、1とn-1の間の整数は交点数として現れ得ない。 では、このような現象は、最初の図形にのみ起きる特殊なものだろうか? 実はこの現象は、 平面中の直線の有限集合すべてに起きる、 普遍的な現象であることが分かる。 そして最初の例で重要な数であった1とn-1は、 その補空間の複素化のベッチ数の言葉で理解でき、 この観点から任意の直線集合へと一般化できるのである。
このような、 簡明かつ平易な主張であるが、証明には多重配置の理論、 あるいは射影平面上のベクトル束の分裂型に関する理論が必要とされる。 また、時間があれば直線配置の自由性との関連についても述べたい。
アソシエーションスキームの圏論的一般化として、 講演者によりスキーモイドの概念が導入された。 このスキーモイドは 小圏の射全体がつくる集合に適切な分割を与えることで構成される。 講演では、 (擬)スキーモイドの圏にホモトピーの概念を導入しスキーモイドや アソシエーションスキームの間の ホモトピー関係やホモトピー不変量の例について概説する予定である。 ここでの考察はQuilllenのモデル圏や Bauesによる(コ)ファイブレーション圏構造を スキーモイドの圏に見いだすための第一歩である。
事前の参加申し込みなどは必要ありません. 不明な点などは沼田泰英(信州大学 理学部 数理・自然情報学科, nu at math.shinshu-u.ac.jp) まで.
8月9日(金)に懇親会を行う予定でおります. お店の予約の都合がございますので, 懇親会に参加される方は, 8月6日までに 沼田(nu at math.shinshu-u.ac.jp)までご連絡ください.