群論と対称性
第 1 回 Knoppix DVD を使う - 起動と停止、基本的な操作

このテキストは信州大学理学部数理・自然情報科学科の計算機室 (A 棟 5 階) の計算機システムにおいて、Knoppix/Math 2011 dojo (Bootable DVD) を用いて簡単な作業を行うための解説である。 Knoppix/Math DVD を用いることによって

などを利用することができる。 またここで説明する方法で、自宅でも同じ環境で作業をすることができる。 DVD からのブートのため、HDD は一切用いない。 このためデータの保存には USB メモリを利用する。 USB メモリは必要ならば各自が用意すること。 講義の内容を行うだけならば USB メモリはなくてもよいが、 その場合はデータの保存が一切できない。 (Windows の HDD にデータを書き込むことができるが、 誤って重要なファイルを消したりすることもあるので勧めない。) USB メモリを用いることは、やや不便に感じるかもしれないが、 自宅でも同じ環境で作業をするということを考えると、むしろ利点であるとも言える。 常にインターネットに接続した状態で使うのであれば、 Dropbox (外部サイト) などの インターネット上のファイル保管サービスを利用することも可能である。

ちなみにこのテキストも環境を確認するため Knoppix/Math DVD + USB メモリという環境で作成している。

このテキスト、およびこの続きは http://math.shinshu-u.ac.jp/~hanaki/edu/symmetry/ にあるので参照すること。 eALPS のこの科目のページからもリンクがある。

knoppix/Math は 2012 年から MathLibre と名前を変えて開発を継続するらしいが、 ここでは knoppix/Math のままで説明する。


用意するもの

まずは、以下の手順でシステムの起動と停止の方法を確認しておこう。


Knoppix/Math DVD の起動

自分の PC で起動する場合、画面が正常に表示されないときがある。 (私の PC のうち Dell のノート PC で表示できなかった。) その場合はブートオプションを付けることで問題は解決できる場合が多い。 私の場合には起動時に 「boot: knoppix xmodule=fbdev」とすることで起動できた。 これでもダメなときは、インターネットなどで情報を探して対応して欲しい。


Knoppix/Math DVD の停止

起動と停止方法を確認したら、再度起動して、いくつかのソフトウェアを使ってみよう。


標準的なソフトウェアの利用

WEB ブラウザ

この講義のテキストは WEB で見ることができるので、まずはブラウザを確認しよう。

左下隅のメニューから「インターネット」を選択して利用できる。 どちらでも好きな方を利用すればよい。 Iceweasel ではブックマークなどは保存できないので、注意が必要である。

エディタ

この講義で説明することの多くで、何らかのテキストのみからなるファイルを作成する。 このために利用するのがエディタである。

他にも色々と入っているので、使いたい人は自由に使ってもよい。 Emacs と gedit は左下隅のメニューから「アクセサリ」を選択して、 bluefish は「プログラミング」を選択して利用できる。

端末

このテキストで「コマンドラインから...」のような説明があったら、端末を開いてそこにコマンドを入力する。

左下隅のメニューから「アクセサリ」を選択して利用できる。 また下の方に並んでいるアイコンのうち、画面のようなアイコンをクリックすることでも起動できる。


USB メモリの利用

USB メモリは PC 左側にあるスロットに挿せば利用できる。 次のようにしてマウントポイントを確認する必要がある。

ファイルを保存するときなどは、マウントポイントの下にファイルを置かないと、 システム停止時にすべて消えてしまうので注意すること。 ファイル操作などはファイルマネージャから、Windows などと同じように行うことができるので、 細かい説明はしない。

Knoppix (unix 系のOS) では USB メモリなどのディスクはマウントという操作で OS から利用可能となり、 アンマウントという操作で利用不能になる。 ディスクを取り外すときには、このアンマウントという操作を行わないと、変更などが反映されないことがある。 一番簡単なのは、システム停止時に自動的にアンマウントされるので、停止までは外さないということである。 しかしながらシステムを停止せずにディスクを取り外したい時もある。 このときは、ファイルマネージャの左にある USB メモリのアイコン上で右クリックし、 そこから「ボリュームをマウント解除する」という項目を選べばよい。

重要な注意: Knoppix DVD から起動した環境でも ハードディスクにある Windows のファイルにアクセスできる。 誤って削除などしてしまうと Windows が正常に起動しなくなる場合もあるので、 余計なことはしないようにしよう。


USB メモリ上での作業

LaTeX 文書の処理

データを USB メモリに保存して作業する方法を説明する。 例として、簡単な LaTeX のソースを作成し、それを pdf ファイルに変換する。

「cd」 は "change directory" の意味で、作業ディレクトリを変更するコマンドである。 「ls」 は "list" の意味で、作業ディレクトリにあるファイルのリストを表示する。 詳細な情報を表示させたければ「ls -l」 とする。 まず LaTeX を実行する。エラーがなければ終了してプロンプトに戻る。 エラーがあった場合、多くの場合 ? が表示されて止まる。 ここに "x" を入力すれば、強制終了し dvi ファイルは作成されない。 "r" を入力すれば、エラーを適当に処理し、可能な限り dvi ファイルを作成する。 停止時のマークが ? でなく * だったりした場合には、何度かリターンキーを押せば ? になることがあるので、 試してみよう。 わからなくなったら Ctrl+c を押すと強制終了できる。 dvi ファイルができたら「xdvi」というコマンドで dvi ファイルを表示する。 最後に & を付けるのは、このコマンドの終了を待たずにプロンプトを表示するためである。 & なしで実行した場合には xdvi を終了するまでプロンプトは表示されない。 このようにしてしまったときには、Ctrl+z を押すとプロンプトが表示される。 これは xdvi を休止状態にしたためで、このままでは xdvi 上では何もできなくなる。 xdvi を利用可能にするためには、この状態でコマンドラインから「bg」と入力する。 詳細は unix 系の OS のプロセスの概念を理解しないといけないので、ここでは省略する。 xdvi のウインドウは閉じる必要はなく、表示を見ながらソースを書き換え、再度 LaTeX を実行すれば、 自動的に更新された dvi ファイルが表示される。 次に dvi ファイルから pdf ファイルを作成しよう。 いくつかの方法があるが、ここでは最も簡単な「dvipdfmx」を用いる。 上の例のように「dvipdfmx」で pdf ファイルを作成する。 ls で確認すると hello.pdf ができていることが確認できる。 pdf ファイルの表示は「xpdf」を利用するなら上の例のようになる。

pdflatex というコマンドで TeX のソースから直接 pdf ファイルを作成することも出来るが、 日本語には対応していない。 日本語を使わないならば便利である。

このシステムで LaTeX 文書を作成するときには、端末、エディタ、 xdvi (または xpdf) の 3 つのウインドウを同時に表示させて行うのが普通である。 (多くのエディタでは、適当な設定を行うことによって LaTeX にかける操作をエディタ上からも行うことができるが、 DVD から起動しているシステムでは設定を保存することが難しい。)

dvi ファイルや pdf ファイルはファイルマネージャに表示させているならば、 そのアイコンをクリックすることでも表示することができる。

Knoppix で LaTeX の処理を行うときに注意することに、Windows などとの文字コードの違いがある。 通常 Windows で用いられる日本語の文字コードは Shift-JIS であるが、Knoppix では UTF8 である。 このため、Knoppix と Windows で日本語を含むファイルのやり取りをすると文字化けが生じることがある。 これを解決するには nkf などの文字コード変換プログラムを利用するか、 エディタで文字コードを指定して保存する必要がある。 pdf ファイルは文字コードに関係なく保存できるので、pdf の作成までを Knoppix で行ってしまえば、 文字コードを考える必要はない。

ディレクトリ (フォルダ) 操作

多くのファイルを作成すると USB メモリが使いにくくなるので、ディレクトリを作成して整理する。 ファイルマネージャでディレクトリを作成するには、作成したい場所で右クリックし「New」→「フォルダ」とすればよい。 ディレクトリ名の変更なども Windows などと同じようにできるので説明は省く。

今後、どのディレクトリで作業をするなどという指示をいちいち与えないが、 課題ごとに適当なディレクトリを作成して作業することを勧める。 作業ディレクトリの変更の仕方だけ、説明する。 練習のため、簡単な C 言語のプログラムを書いてみよう。 (C 言語の文法は説明しない。 例えば ここを見てほしい。)

課題. メニューから色々なソフトを起動して色々とやってみなさい。

ここで説明したこと以外にも Linux のコマンドラインから実行できることは多い。 どのようなコマンドでどのようなことが出来るかは「Linux コマンド」などで検索すれば多くの情報が得られるので、 必要ならば各自で調べて欲しい。

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Akihide Hanaki (Shinshu University)