組合せ論とその周辺ワークショップ in 信州 -2019 冬-

本集会は, 組合せ論及び関連する話題に関心を持つ若手研究者・学生の情報交換・交流を目的としています.

日程

2019年12月12日, 13日 (2日間).

場所

信州大学松本キャンパス理学部A棟4階401室(数理自然情報合同研究室). 住所: 〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1.

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プログラム

2019年12月12日 (木)

14:00 -- 15:00
矢澤 明喜子 (信州大学大学院総合医理工学研究科 D1)
ループ付完全グラフから決まるある行列の固有値とその応用について
ループ付完全グラフの部分グラフに対しその部分グラフの同型類で値が定まる行列を考える. 本講演では, この行列の固有値を求める. 応用として, グラフから定まる多項式であるキルヒホッフ多項式や対称式の偏微分やdivided operatorによるヘッセ行列の正則性を考える. 本講演は, 沼田泰英氏との共同研究に基づく.
15:30 -- 16:30
稲葉 ゆき江 (日本女子大学大学院理学研究科 M2)
spanning forestの数え上げ
本発表ではweighted graphに対する数え上げ問題を扱う。具体的には、nodeが指定され2種類のweightが与えられたn-gon graphというあるplanar graphの族に対してrooted spanning forestの数え上げを考える。ここで、数え上げとは部分グラフに対して定まるweightの積和として定まるある種の母関数、weight sumを求めることを意味している。今回は、n-gon graphに対するrooted spanning forestのweight sumがチェビシェフ多項式を用いて表すことができるという結果について話す。なおこの研究は藤田玄氏(日本女子大学)と近藤剛史氏(鹿児島大学)との共同研究である。また、もし時間に余裕があれば関連する話題として、n-gon graphに対するresponse matrixによるweightの復元問題にも触れる。
17:00 -- 18:00
佐藤 雄一郎 (首都大学東京大学院理学研究科 D2)
定曲率擬Riemann多様体の部分多様体について
擬Riemann多様体とは,Riemann多様体の一般化であり,計量の正定値性を不定値なものまで緩めた対象である.Lorentz多様体とは,擬Riemann多様体のあるクラスであり,相対論を密接な関係を持つ.本講演では,Lorentz多様体を含む擬Riemann多様体であって,定曲率なものに焦点を当てる.Riemann幾何との差異を見るために,部分多様体の観点からアプローチし,性質を調べる.スライド

2019年12月13日 (金)

10:00 -- 11:00
榎本 悠久 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科 D2)
対称群のBruhat inversionとA型箙のねじれ自由類
Dynkin型箙の直既約表現は、対応するルート系の正ルートと一対一対応する(Gabriel)が、 これを用いて、Weyl群の元からinversionを通して箙の表現圏の部分圏が得られる。 このもとで、Weyl群のある元と、表現圏の「ねじれ自由類」というよい部分圏が一対一に対応する(Ingalls-Thomas対応)。 本講演では、対称群による直接的な記述が明快なA型の場合にこれらを概説し、「ねじれ自由類の単純対象が、対称群の元のBruhat inversionと対応する」という講演者の最近の結果を紹介し、応用としてねじれ自由類のJordan-Holder性を対称群の組合せ論の言葉で特徴づける(arXiv:1908.05446)。
11:30 -- 12:30
水野 勇磨 (東京工業大学 数理・計算科学系 D2)
クラスター代数におけるCartan-Killingの分類とその拡張について
1890年ごろ、CartanとKillingは複素半単純リー代数の分類はルート系の分類に帰着されることを発見し、さらにルート系の分類をCartan行列と呼ばれる整数係数の行列を用いて完遂した。これは現在ではCartan-Killingの分類と呼ばれる。21世紀に入ってから、FominとZelevinskyは彼ら自身が創始したクラスター代数の理論においてCartan-Killingの分類が再登場することを発見した。彼らはクラスター代数に関する基本的な論文を4本執筆しているが、二つ目の論文において「(a)有限型のクラスター代数の分類はCartan-Killingの分類と一致すること」、そして四つ目の論文において「(b)二部ベルトと呼ばれる離散力学で周期性を持つものの分類はCartan-Killingの分類と一致すること」を示した。講演では、この二通りのCartan-Killingの分類の再登場の仕方のうち(b)の方について解説をしたのち、「周期的な二部ベルト」を一般化させることでCartan-Killingの分類を拡張するという試みについて紹介する。さらにその応用としてダイログ関数の特殊値の有理性について述べる。

過去の集会

謝辞

本集会は次の援助を受けて開催されました. この場を借りて御礼申し上げます.

世話人

信州大学大学院総合医理工学研究科 D1 矢澤 明喜子 ( yazawa [at] math.shinshu-u.ac.jp )