第2回信州数理物理ウィンタースクール

日時: 2024年1月30日(火)~ 2月2日(金)

場所:繊維学部図書館 演習室

プログラム

第12回信州関数解析シンポジウム

日時:2023年12月11日・12日(月・火)

場所:理学部A棟4階数理・自然情報合同研究室

プログラム アブストラクト

第11回信州関数解析シンポジウム

日時:2022年11月25日(金)

場所:理学部A棟4階数理・自然情報合同研究室

プログラム アブストラクト

第10回信州関数解析シンポジウム

日時:2021年11月12日(金)

場所:Zoomによるオンライン開催

プログラム アブストラクト

第9回信州関数解析シンポジウム

日時:2020年10月26日(月)と28日(水)

場所:Zoomによるオンライン開催

プログラム アブストラクト

※ 27日(火)は開催されません

第8回信州関数解析シンポジウム

日時:2019年11月28日(木)~29日(金)

場所:理学部A棟4階数理・自然情報合同研究室

プログラム アブストラクト 懇親会

第1回信州数理物理サマースクール

量子ウォークにおける対称性とトポロジー

日時:2019年9月4日(水)~6日(金)

場所:教育学部N201教室

プログラム

第7回信州関数解析シンポジウム

日時:2018年12月3日(月)~4日(火)

場所:理学部A棟4階数理・自然情報合同研究室

プログラム アブストラクト

過去のセミナーの記録

過去のセミナーの記録

研究集会の記録

2017年11月に第6回信州関数解析シンポジウムが開催されました.
プログラム アブストラクト
第5回までの研究集会の記録

セミナーの世話人

大野 博道(信州大学工学部)
佐々木 格(信州大学理学部)
鈴木 章斗(信州大学工学部)
松澤 泰道(信州大学教育学部)
泉 真之介(信州大学理学部 特任助教)
田中 洋平(学習院大学理学部 学振PD)

リンク

信州数理科学研究センター

セミナー情報


2023年5月10日
15:00 - 17:00
ボソンサンプリング問題と量子ウォークの関係、及び開放量子系への拡張
講演者:望月健氏 (理化学研究所)
本講演ではまず、量子ウォークとボゾンサンプリング問題との関係を説明する。量子ウォークとは、ランダムウォークの量子力学版として考案された数理モデルである[1]。また、量子ウォークは単一光子が光学素子を通過していくダイナミクスを記述している事も知られている[2]。そのような量子光学系では、単一光子だけでなく多光子のダイナミクスも古くから研究されている。多光子ダイナミクスでは、古典コンピュータを用いた光子確率分布のサンプリングが効率的に行えない場合がある。そのため、多光子確率分布のサンプル複雑性を議論するボゾンサンプリング問題は量子超越性の観点から注目され、精力的に研究されている[3,4]。量子ウォークでは単一光子の基底でダイナミクスを議論するのに対し、ボゾンサンプリング問題では多光子の基底を用いる必要がある。本講演では、ボゾンサンプリング問題では標準的である、生成消滅演算子を用いた記述に基づいて両者の対応を説明する。
後半では、講演者が最近研究した、ボゾンサンプリング問題の開放系への拡張について紹介したい[5]。光子が環境へ逃げていく効果を考えると、時間発展演算子のユニタリ性が失われる。そのような状況下でどのようなダイナミクスが実現されるのか、また、多光子確率分布のサンプル複雑性がユニタリ時間発展の場合と比較してどう変化するのかを議論する。本講演では特に、時間発展演算子が時間空間反転(PT)対称性を満たす場合を考える。まず、非ユニタリな時間発展演算子のスペクトルが単位円上に分布するか否かが固有状態のPT対称性の有無と対応する事を見る。また、PT対称性の破れた相では拡散的なダイナミクスが実現される事を示す。これは、ユニタリ時間発展する量子ウォークでは弾道的なダイナミクスが観察される事とは対照的である。また、長時間後の多光子確率分布を古典コンピュータで効率的にサンプル可能となる事を説明する。これは、PT対称性の破れによりスペクトルが単位円から外れるという非ユニタリな時間発展演算子特有の機構に起因するため、ユニタリ時間発展する孤立量子系では起こり得ない、興味深い現象である。
[1] J. Kempe, Contemporary. Physics 44, 307 (2003).
[2] M. A. Broome et.al., Physical Review Letters 104, 153602 (2010).
[3] S. Aaronson and A. Arkhipov, Theory of Computing. 9, 143 (2013).
[4] S. Scheel, Permanents in linear optical networks, arXiv:quantph/0406127.
[5] K. Mochizuki and R. Hamazaki, Physical Review Research 5, 013177 (2023).
会場: 信州大学工学部 総合研究棟5階 503号室


2022年11月10日
15:00 - 16:00
Spontaneous Mass Generation and Chiral Symmetry Breaking in a Lattice Nambu-Jona-Lasino Model
講演者:後藤ゆきみ氏 (九州大学)
量子色力学において、相互作用が無ければクォークは質量を持たず、保存量カイラリティーを持つ。現実にはクォークは質量を持ち、カイラル対称性も破れている。これは相互作用によって真空の対称性が自発的に破れた結果であると考えられている。本講演では、Kogut-Susskind 型の格子フェルミオンのハミルトニアンを考える。相互作用は4つのクォークの有効相互作用とし、その強結合領域を扱う。十分低い温度で空間次元が3以上、または基底状態で空間次元2以上のとき、この模型において無限体積極限をとることにより、質量項の期待値が非自明な値をとることを証明する。これは連続極限がうまく取れれば、カイラル対称性が自発的に破れることを意味する。証明においてはフェルミオンの鏡映正値性が本質的になる。本講演は高麗徹氏との共同研究に基づく。 (arXiv:2209.06031)
会場:Online Meeting


2021年05月31日
10:00 - 12:00
1 次元量子ウォークによる量子テレポーテーションの条件
講演者:山上智輝氏 (東京大学)
量子テレポーテーションとはある量子状態の伝送を行うためのプロトコルで,多くの量子計算の基礎を担う点でも重要視されている.本講演では,Wang et al. [1]にて示された1次元量子ウォークによる量子テレポーテーションのスキームの拡張を行う.まず,この量子テレポーテーションのスキームに関して「成功」の数学的な定義を行う.続いて,定義した量子テレポーテーションの成功に関する特徴づけを定理として与える.この定理により,量子テレポーテーションが成功するような場合の分類がなされる.この観点に基づき,いくつかのスキームの例も紹介する.なお,本講演の内容は,横浜国立大学の今野紀雄氏および瀬川悦生氏との共同研究[2]に基づく.
[1] Y. Wang, Y. Shang, P. Xue: Generalized teleportation by quantum walks, Quantum Inf. Process., 16, 221 (2017).
[2] T. Yamagami, E. Segawa, N. Konno: General condition of quantum teleportation by one-dimensional quantum walks, arXiv:2103.11536 (2021).
会場:Online Meeting


2021年03月25日
13:00 - 15:00
ポテンシャル障壁を伴う1次元散乱問題の量子ウォークによる表現
講演者:樋口健太氏 (立命館大学)
一次元定常シュレディンガー方程式に対し,WKB法などの局所的な解の構成法はよく知られており,それらの接続によって大域解を得るという方法は一般的である.このとき,正規化された局所解同士の接続行列によって量子コインを与えると,シュレディンガー方程式の大域解と量子ウォークの定常状態が一対一に対応することが明らかになった.例えば,ポテンシャル障壁が非退化な最大点を持つとき,その近くのエネルギーについて散乱問題を考えると,アダマールウォークが対応する.また,シュレディンガー作用素の散乱行列が確率振幅の(経路に関する可算)和によって記述できることも従う.これはファインマンの経路積分(非可算和)を離散的な量子ウォークによって「表現」したものである.
会場:Online Meeting


2021年01月28日
15:00 - 17:00
量子ウォークの長距離散乱理論における修正波動作用素の構成について
講演者:只野之英氏 (京都大学)
1次元量子ウォークに長距離型の摂動を加えたときの散乱理論について考察を行う.この場合では修正波動作用素を構成する必要があるが,本講演では相空間上のハミルトン力学から得られる修正波動作用素の構成法を紹介する.この方法は離散シュレディンガー作用素の長距離散乱理論から着想を得ており,次元によらない議論であるため一般次元への拡張が可能であることも紹介する.
会場:Online Meeting


2021年01月25日
13:00 - 15:00
拡張版佐藤ゼータの伊原表示
講演者:石川彩香氏 (横浜国立大学)
有限グラフ上グローヴァーウォークの遷移行列の固有多項式は佐藤ゼータにより与えられる.特に,佐藤ゼータを伊原表示という行列式表示に変形することで,その遷移行列の固有値を明示的に与えることができる.その結果からも推測できる通り,グローヴァーウォークは佐藤ゼータに対応しうる量子ウォークの族に含まれている.その一方で,グローヴァーウォークの一般形であるセゲディウォークはその族に含まれていない.本講演では,佐藤ゼータをセゲディウォークが対応するような形に拡張し,その伊原表示の導出を行う.
会場:Online Meeting


2021年01月18日
13:00 - 17:00
量子ウォークのトポロジカル相:開放系やフロケ系に特有な性質の顕在化
講演者:望月健氏 (北海道大学)
本セミナーでは、ランダムウォークの量子力学版である量子ウォークという数理モデルに着目し、トポロジカル相及びそれに起因するエッジ状態について議論する。量子ウォークは、単一光子やコヒーレント光が様々な光学素子を次々と通過していくダイナミクスを記述する。量子ウォークの持つ二つの特徴に着目する事で、これまで精力的に研究されてきた、時間非依存ハミルトニアンで記述される孤立系におけるトポロジカル相とは定性的に異なる現象・性質を探索する。一つ目の特徴は、光の増幅減衰効果の制御性である。増幅減衰効果が存在する量子ウォークは、非ユニタリな時間発展演算子で記述される開放系となる。我々は、カイラル対称性に由来してトポロジカルなエッジ状態が現れる事、及び時間空間反転対称性の破れに起因してエッジ状態の寿命が延びるという開放系特有の現象を解明した[1]。我々の理論予想は単一光子を用いた系で実証され、それは開放量子系における時間空間反転対称性の破れに対する初の観測実験となった[2]。着目した二つ目の特徴は、量子ウォークは離散的な時間発展をするフロケ系(時間周期駆動系)の一種であり、ハミルトニアンではなく時間発展演算子により記述される事である。我々は、カイラル対称性及び時間グライド対称性を持つ量子ウォークにおいて、擬エネルギースペクトルがギャップレスな場合にも非自明なトポロジカル相が存在し得る事を示した [3]。従来の系におけるトポロジカル相はエネルギーギャップが開いた場合に議論され、また時間グライド対称性はフロケ系特有の対称性であるため、上述のトポロジカル相は時間非依存ハミルトニアンで記述される系に対応物が存在しない。
[1] Ken Mochizuki, D. Kim, N. Kawakami, and H. Obuse, Physical Review A 102, 062202 (2020).
[2] L. Xiao, X. Zhan, Z. H. Bian, K. K. Wang, X. Zhang, X. P. Wang, J. Li, Ken Mochizuki, D. Kim, N. Kawakami, W. Yi, H. Obuse, B. C. Sanders, and P. Xue, Nature Physics 13, 1117 (2017).
[3] Ken Mochizuki, T. Bessho, M. Sato, and H. Obuse, Physical Review B 102, 035418 (2020).
会場:Online Meeting


2020年11月27日
15:00 - 16:00
一欠陥付二相系量子ウォークの固有値問題
講演者:黄海仲星氏 (横浜国立大学)
一欠陥付二相系量子ウォークは、応用数学的にも盛んに研究されている、一欠陥量子ウォークと二相系量子ウォークを含んだモデルであり、非常に重要な量子ウォークのモデルである。一欠陥付二相系量子ウォークは局在化と呼ばれる、古典ランダムウォークにはない、興味深い性質を持つ。そして、量子ウォークの時間発展作用素が固有値を持つことと、局在化が起きることに非常に深い関係があることが知られている。そこで本講演では、一欠陥付二相系量子ウォークの固有値問題について扱う。特に、固有値の存在性と同値な式の紹介と、それを用いて得られた、5つのクラスの具体的な固有値と、それらの固有値の存在範囲について紹介する。なお、その5つのモデルのうち4つは先行研究のモデルを包含したものとなっている。
*本研究は齋藤渓氏との共同研究である。
会場:Online Meeting


2020年11月19日
10:00 - 11:00
On Choosing a Physically Meaningful Topological Classification for Non-Selfadjoint Systems and the Issue of Diagonalizability
講演者:Max Lein氏 (東北大学)
The topological classification of selfadjoint operators is solely determined by the presence or absence of certain discrete symmetries. Non-selfadjoint systems not only admit more types of discrete symmetries, their spectrum is a subset of the complex plane. Hence, spectral gaps come in two flavors and we in addition need to specify whether we are dealing with a point gap (co-dimension 2) or a line gap (co-dimension 1). Since the presence of a line gap implies the existence of a point gap, there is usually more than one mathematical classification of a physical system. To decide which classification is physically meaningful, I propose a simple physical criterion based on the notion of /physically relevant states/. This generalizes of the notion of Fermi projection, which even in the selfadjoint case not determines the topological bulk classification of fermionic condensed matter systems, but enters as an auxiliary quantity in the topological classification of photonic and magnonic crystals. A crucial point in my investigation is the relevance of diagonalizability in topological classifications, i. e. the absence of Jordan blocks.
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2020年10月16日
15:40 - 16:40
近藤格子模型の基底状態における磁気秩序の安定性について
講演者:宮尾忠宏氏 (北海道大学)
金属化合物では,比較的自由に結晶を動くことのできる伝導電子と局在電子が相互作用することにより多彩な物性が出現することが知られている. このような系を記述する最も単純化された模型の一つが近藤格子模型(KLM)である. ハーフフィリング系におけるKLMの基底状態の磁気的性質についてはこれまでに様々な解析がなされている. 本講演ではSpin reflection positivityと呼ばれる解析法による,厳密な結果をまず概説する.さらに,基底状態の磁気的性質が電子格子相互作用に代表される,環境との様々な相互作用のもとで安定であることを概説し,その背後にある数学的構造を順序を保存する作用素不等式を用いて解説する. 本講演の内容は北大博士課程 冨永隼人氏との共同研究[1]と[2]に基づく.
[1] "Electron-phonon interaction in Kondo lattice systems", T. M., H. Tominaga, arXiv:2007.14309
[2]"Stability of ferromagnetism in many electron systems ", T. M., Journal of Statistical Physics, 176, 1211-1271, (2019)
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2020年09月09日
13:00 - 15:00
Open quantum random walks and hypergroups
講演者:澤田友佑氏 (名古屋大学)
Wildbergerは, グラフ上のランダムウォークからhermitian hypergroupを構成する方法を導入した. 今回, Wildbergerの方法に影響を受けて, 距離集合の上のopen quantum random walkからhypergroupを構成する. さらに, 任意のhypergroupがある距離集合上のopen quantum random walkによって実現されることを示す.
会場:Online Meeting


2020年7月27日
15:00 - 17:00
1次元2状態量子ウォークの散乱行列について
講演者:森岡 悠氏 (愛媛大学)
1次元2状態量子ウォークに対して一般化固有関数を構成し, その中に含まれる散乱行列を考える. 散乱行列は, 散乱理論の一般論としては既によく知られた対象であるが, 本講演では, 有限次元摂動を持つ量子ウォークの場合に, ある種の組み合わせ論的な議論を行うことで散乱行列の明示公式を構成できることを示す. このことは. 長時間後における量子ウォーカーのパスの数え上げを行うことに相当する. 本講演は, 小松堯氏, 今野紀雄氏, 瀬川悦生氏との共同研究による.
会場:Online Meeting


2020年6月26日
15:00 - 17:00
非ユニタリな1次元量子ウォークで記述されるトポロジカル相の分類:一般論と具体例
講演者:関 元樹氏 (北海道大学)
トポロジカル相は通常の物質とは異なる特異な性質をもつ物質の秩序である.トポロジカル相は良くハミルトニアンによって記述されるが,量子ウォークを用いて記述することもできる.さらに,開放系のトポロジカル相は非ユニタリな量子ウォークによって記述される.ユニタリな量子ウォークで記述される孤立系のトポロジカル相の分類は従来成されてきたが,開放系のトポロジカル相については未だ成されていない.本発表では非ユニタリな量子ウォークで記述されるトポロジカル相の分類の一般論について現在までに分かっていることと,その具体例であるMochizuki-Kim-Obuseモデルの分類について述べる.
会場:Online Meeting


2020年4月2日
14:00 - 15:00
Uniform Strichartz estimate for quantum walks on 1D lattice
講演者:前田 昌也氏 (千葉大学)
幅を $\delta>0$ とする一次元格子状の量子ウォークのについて, その格子幅によらないStrichartz評価を導出する.
会場:Online Meeting