セミナー (2015年度の記録)
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日時 : 2016年2月18日(木) 16:30 - 18:00 (日程が変更されました)
題目 : 楕円ルート系について.
講演者 : 斉藤 義久 氏(東京大学)
会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)
アブストラクト :
半単純リー代数の理論は,``ルート系"と呼ばれる離散的な
データによって完全にコントロールされているといって良い.
半単純リー代数の一般化であるKac-Moodyリー代数は,この対応を逆手に取ることで定義される無限次元リー代数である.すなわち,Kac-Moodyリー代数の理論では,『最初に離散的データ(ルート系)を一般化しておき,そこからリー代数を
構成する』
という方法を取る.これによりKac-Moodyリー代数は,半単純リー代数の理論を特殊ケースとして内包する形で定義され,現在では見事な一般論が構築されている.ただし,Kac-Moodyリー代数は数ある無限次元リー代数の一例に過ぎず,
それに属さない重要なクラスも数多く存在するということも,また事実である.
他方,1980年代半ば齋藤恭司は,特異点理論をその動機として楕円ルート系の概念を定義した.これは,古典的意味でのルート系の拡張概念であるが,上に述べたKac-Moodyリー代数の理論に現れるルート系とは拡張の方向性を異にする.
さらに,楕円ルート系をそのルート系として持つリー代数として,トロイダルリー代数と呼ばれる無限次元リー代数があり,近年理論物理学とも関連して脚光を浴びつつある.
本講演では,楕円ルート系の定義とその基本的な性質を,
Kac-Moodyリー代数に付随するルート系の理論との対比を行いつつ紹介したい.
また,時間が許せば最近の進展についても言及する予定である.
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日時 : 2015年10月29日(木) 16:30 - 18:00
題目 : Remarks on quantum unipotent subgroups and the dual canonical basis.
講演者 : 木村 嘉之 氏(神戸大学)
会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)
アブストラクト :
Quantum unipotent subgroup is the quantum coordinate ring of the
unipotent subgroup associated with a finite subset which is defined by
a Weyl group element of a symmetrizable Kac-Moody Lie algebra. By the
works of Geiss-Leclerc-Schroer and Goodearl-Yakimov, it is known that
it has a quantum cluster algebra structure. In this talk, I explain
about the quantum coordinate ring of the pro-unipotent subgroup
associated with a cofinite subset given by a Weyl group element and
its compatibility with the dual canonical basis and the
multiplicity-free property between the dual canonical basis element in
the quantum unipotent subgroups and the one in the opposite.
This talk is based on arXiv:1506.07912.
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日時 : 2015年7月9日(木) 16:30 - 18:00
題目 : N=1超対称Virasoro代数のWhittakerベクトルの自由場表示
講演者 : 柳田 伸太郎 氏(京都大学数理解析研究所)
会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)
アブストラクト :
Desrosiers-Lapointe-Mathieuは2012年にAGT予想の超対称版に関連して、
N=1超対称Virasoro代数のWhittakerベクトルの
Jack超対称函数による明示公式を予想した。
講演ではN=1超対称Virasoro代数とそのFock表現の復習から始め、
Desrosiers-Lapointe-Mathieu達が2000年代から研究している
古典的な対称函数やJack対称函数の超対称版について解説する。
また従来知られていなかった(と思われる)
Jack超対称函数のPieri型公式などについても説明し、
Whittakerベクトルの明示公式の証明を概説する。
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日時 : 2015年7月6日(月) 16:30 - 18:00
題目 : Affine Yangian action on the Fock space
講演者 : 小寺 諒介 氏(京都大学数理解析研究所)
会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)
アブストラクト :
Jack対称函数と$\mathbb{C}^2$上の点のHilbertスキームのトーラス固定点のクラス
とを対応させることでFock空間とHilbertスキームの同変ホモロジー群が同一視でき
ることはよく知られている。Uglovは、スピン$N$の対称性を持つCalogero-Sutherlan
d模型の研究からJack($\mathfrak{gl}_N$)対称函数と呼ばれるFock空間の基底を導入
した。この函数はMacdonald対称函数のある退化とみなすことができ、$N=1$のときは
Jack対称函数を与える。また幾何学的には、Jack($\mathfrak{gl}_N$)対称函数はア
ファイン$A_{N-1}$型箙多様体のトーラス固定点のクラスと対応する。
この講演では、Uglovの構成したFock空間への$\mathfrak{gl}_N$ヤンギアンの作用と、
Varagnoloによる箙多様体の同変ホモロジー群へのアファイン$A_{N-1}$型ヤンギアン
の作用が、上で述べた基底の対応と整合的であることを紹介する。
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日時 : 2015年5月21日(木) 16:30 - 18:00
題目 : Representations of quantized function algebras and the transition matrices from Canonical bases to PBW bases
講演者 : 大矢 浩徳 氏(東京大学)
会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)
アブストラクト :
Let $G$ be a connected simply connected simple complex algebraic group and $\mathfrak{g}$ the corresponding simple Lie algebra. In this talk, I will explain our method for investigating the transition matrices from the canonical basis to the PBW bases of the positive part $U_q(\mathfrak{n}^+)$ of the quantized enveloping algebra $U_q(\mathfrak{g})$. We use the common structure of $U_q(\mathfrak{n}^+)$ and the specific irreducible representations of the quantized function algebra $\mathbb{Q}_q[G]$, which has been pointed out by Kuniba, Okado and Yamada (SIGMA. 9 (2013)).
I will mention also the relation between our mathod and another method.