セミナー (2018年度の記録)

  • 日時 : 2018年7月25日(水) 16:30 - 18:00, 26日(木) 16:30 - 18:00,
    題目 : Representation theory of the N=2 superconformal algebra
    講演者 : 佐藤 僚 氏(東京大学)
    会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)

    アブストラクト : Virasoro 代数に 2 種類の odd な生成元たちを追加することによって得られる N=2 超共形代数は,2 次元 N=2 超共形場理論と呼ばれる場の量子論の構成において中心的な役割を果たす.(超)共形場理論のアイディアを介することで,N=2 超共形代数の然るべき表現論においてはフュージョン積と呼ばれるテンソル積の存在や指標のモジュラー不 変性の存在が期待される.実際に,N=2 超共形代数の表現がユニタリである場合には,フュージョン積の存在は Huang-Milas によって,指標のモジュラー不変性は Ravanini-Yang によって示されている.
    N=2 超共形代数の表現は,頂点作用素超代数のコセット(可換子)構成を用いることにより,アフィン Lie 代数 $\widehat{\mathfrak{sl}}(2)$ の表現から構成できることが知られている.本講演では,この構成から誘導される関手が,それぞれの(必ずしもユニタリとは限らない)表現圏の然るべき忠実部分圏の間に圏同値を定めることを概説する.その応用として,N=2 超共形代数の既約最高ウェイトの指標公式や,フュージョン積と指標のモジュラー変換則を関連付ける Verlinde 公式について述べる.

  • 日時 : 2018年5月17日(木) 16:30 - 18:00 
    題目 : グラフのHessianとグラフの木の母関数から構成された環のLefschetz性
    講演者 : 矢澤 明喜子 氏(信州大学)
    会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)

    アブストラクト : 次数付きArtin環$R=\bigoplus_{i=0}^{c}R_{i}$, $R_{c}\neq 0$, を考える. $L\in R_1$が存在して, 任意の$i\in\{0,1,\ldots, \lfloor\frac{c}{2}\rfloor \}$に対し, 掛け算写像$\times L^{c-2i}:R_{i}\to R_{c-i}$が全単射であるとき, 環$R$は強Lefschetz性をもつという. 本講演ではグラフの木の母関数から構成された次数付きArtin Gorenstein環の強Lefschetz性について考える. 主結果として, 頂点数が5以下の完全グラフで定義される環は強Lefschetz性をもつことがわかった. 本講演では証明に用いた種々の定理や手法を例を交えながら紹介をし, 証明の概略を述べる.