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信州数理科学研究センター

数理科学談話会


2022年12月14日(水) [2022年度第4回数理科学講演会]
16:50 - 18:00
都市化の数理
講演者:太田家 健佑 氏 (信州大学全学教育機構 助教)
人間は地理的に均一に居住せず,集積して都市を形成する一方で地方での人口減少を帰結し,このことはしばしば社会政策上の課題を提起する.このような都市化現象を経済の論理で説明できるだろうか.空間経済学と呼ばれる分野では,都市化現象を説明する数理モデルが提案されている.本講演では,空間経済学の代表的な数理モデルについて,その基本となるミクロ経済学の理論から,講演者の研究成果にも触れながら非専門家向けに解説する.
世話人:宮西 吉久(理学系)
キーワード:微分方程式,空間経済学
講師の専門分野:応用数学,数理経済学
会場:数理・自然情報合同研究室 と ZOOM (ハイブリッド)


2022年10月25日(火) [2022年度第3回数理科学談話会]
16:50 - 18:00
Generalized symmetries in QFT
講演者:谷崎 佑弥 氏 (京都大学基礎物理学研究所)
場の量子論は多くの量子多体系に対して低エネルギー領域の普遍的振る舞いを記述することができる枠組みであるが,それを解くことは一般に強結合の物理を解く問題となってしまい,非常に困難である事が多々ある.このような問題に対する一つのアプローチとして,具体的にダイナミクスを解くのではなく,場の理論に対して一般に成り立つべき定理を与えることで,場の理論の可能なダイナミクスを制限するという立場がある.場の理論における対称性は,その観点から非常に大きな役割を担ってきた.近年になり,相対論的場の理論にたいしてこの対称性の概念そのものが一般化され,場の理論を調べる上で新しい見方や非摂動的な定理が得られている.本講演では一般化された対称性の概念を基本的なところから説明し,またそのいくつかの応用を紹介する予定である.
世話人:奥山和美(理学系)
キーワード:一般化された対称性、場の理論
講師の専門分野:原子核理論、場の理論
会場:オンライン(zoom)


2022年10月5日(水) [2022年度第2回数理科学談話会]
15:10 - 16:40
マテリアルズ・インフォマティクスを活用した材料設計と技術動向
講演者:向田 志保 氏 (三井化学)
近年、AIを活用した材料開発であるマテリアルズ・インフォマティクスの活用が進んでいる。 特に、材料メーカーでは、サイクルの速い製品においては、上市までのスピード競争が熾烈化しており、データサイエンスを活用しないと太刀打ちできない状況になりつつある。 データの種類も以前は、実験データといった数値がメインであったが、近年は特許、論文、SNSといったテキストデータならびに関連画像データの活用も進んでいる。特に欧米では、こうしたデータから、ダイレクトに世の中の動向を掴み、材料開発までシームレスに行うDevOps開発が進んでいる。また、量子コンピュータやAIを活用することで、シミュレーション技術が向上し、高速化が進んでいる。こうした背景を受けて、ロボティクスを活用した実験の無人化、遠隔化の試みも進んでいる。情報科学を活用することにより、これまでは化学者しか扱えなかった分野の民主化が進んでいる。分野融合型の人財育成も見据え、今後のトレンドについてもどのようにアプロ—チとしていけばよいかを企業目線でまとめていきたい。
世話人:二村竜祐 (理学系)
キーワード:マテリアルズ・インフォマティクス、機械学習、人工知能(AI)、材料開発、ケモインフォマティクス
講師の専門分野:情報科学、生物工学、マテリアルズ・インフォマティクス
会場:理学部C棟1階13番講義室


2022年9月8日(木) [2022年度第1回数理科学談話会]
15:00 - 16:30
サプライチェーンでの森林伐採のマップ化に関する研究
講演者:金本 圭一朗氏 (総合地球環境学研究所・准教授)
共催: 生物学コース教室セミナー
信州大学理学部「数理科学プロジェクト」信州数理科学研究センター
世界の森林面積は過去数十年に渡って減少してきたが、多くの先進国および中国やインドでは自国の森林面積を増加させてきた。一方で、東南アジアやブラジルでは一 貫して森林面積が減少しており、炭素蓄積、生物多様性の損失などの観点から世界的に大 きな問題となっている。そして、東南アジアやブラジルでの森林伐採は大豆の生産などの農作物の栽培地、牛の牧畜などの牧草地、木材生産、そして都市部の拡大などの要因で起 こっていることが分かっている。そこで、森林伐採を引き起こしてきた農作物や畜産物、 木材、その他財やサービスはどの国が消費しているのかを明らかにする必要がある。
 本研究によって、世界各国の消費が、どこでどの程度森林伐採を引き起こしてきたのかをマップ化することに成功した。日本をはじめ G7 の各国 (カナダを除く) は 2001 年からの15 年間の間に自国内では森林面積を増加させてきたものの、食料や木材の輸入を 通じて熱帯などの国外で自国での森林面積以上の森林伐採を引き起こしてきたことが明らかになった。日本は例えばブラジルからの大豆、インドネシアからのパーム油、パプア ニューギニアやラオスからのコーヒーなどの輸入が森林伐採を誘発している可能性が高 いことが明らかになった。平均的な日本人は、2015 年の 1 年間一人あたり 2.22 本の森林 伐採を国内および国外を通して引き起こしてきたが、そのうち 2.07 本は海外分であるこ となどが明らかになった。研究結果により、多くの先進国は自国での森林面積を増加させ るだけでなく、サプライチェーンを通じた国外での森林伐採の減少に取り組む必要性を明らかする。
世話人:高梨 功次郎 (理学系)
キーワード:サプライチェーン、生物多様性、多地域間産業連関分析、空間的フットプリント分析
講師の専門分野:国際的なサプライチェーンを通じた環境影響解明
会場:理学部 8 番講義室 (理学部講義棟 3 階)