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信州数理科学研究センター

数理科学談話会


2025年6月17日(火)
15:00 - 16:00
Convergence speed estimates for homogeneous unitary quantum walks on the integers
講演者:Pascal Mittenbuehler 氏 (Paderborn大学)
Quantum walks are quantum analogues of classical random walks, where the walker evolves unitarily instead of stochastically. One can think of a random walk as a quantum walk with measurements at every time step, while a quantum walk defers measurement until the end. This coherent evolution leads to markedly different spreading behavior and asymptotic properties.
We study discrete-time quantum walks on the integers with homogeneous unitary evolution. Using a matrix-function formalism, we analyze the pointwise convergence of characteristic functions under ballistic rescaling. We then apply a modified version of Zolotarev’s inequality to convert these into quantitative estimates for the associated position distributions, measured in the Lévy metric. Our results apply to unitary evolutions with analytic Fourier transforms.
As an application, we are currently investigating how these Lévy metric estimates can be used to derive sup-norm bounds for the Hadamard walk. Preliminary results suggest a convergence rate of order $n^{-1/3}$, which contrasts with the classical random walk’s faster $n^{-1/2}$ behaviour.
会場:信州大学理学部A棟4階数理自然情報合同研究室


2024年11月29日(火) [2024年度第4回数理科学談話会]
16:20 - 17:50
脊椎動物における味覚受容の進化と食性
講演者:糸井川 壮大 氏 (明治大学 学振PD)
味覚は口にするものの栄養価や有害性を判断するために欠かせない感覚である。私たちヒトを含む脊椎動物の味覚は、基本味と呼ばれる五つの味質(甘味、うま味、苦味、酸味、塩味)に分類される。例えば、甘味は炭水化物、うま味はアミノ酸や核酸といった栄養素で、苦味はアルカロイドなどの有毒物質で惹起される。これらの基本味は、それぞれに対応した味覚受容体タンパク質によって認識される。特に、本講演で注目する甘味・うま味の受容体はT1R、苦味の受容体はT2Rと呼ばれるGタンパク質共役型受容体ファミリーである。T1RとT2Rは脊椎動物の進化の過程でその遺伝子数を頻繁に増減させてきたことが分かっており、動物の食性、摂餌戦略、生息環境など様々な要因と関連して系統固有の味覚を作り出すことに寄与している。例えば、完全肉食のネコ科動物は糖を検知する甘味受容体を喪失しており、丸呑み型摂餌で咀嚼をしない鯨類はT1RとT2Rの双方を殆ど失っている。本講演では、霊長類(特にマダガスカル固有のキツネザル類)の研究を例にしながら味覚と食性の密接な関係を進化の視点から概観するとともに、今年明らかにした脊椎動物の苦味受容体遺伝子の進化的起源に関する研究を紹介する。
世話人:松本 卓也(理学系)
キーワード:食性、進化、味覚受容体、脊椎動物、霊長類
講師の専門分野:分子進化学、分子遺伝学
会場:信州大学理学部A棟4階数理自然情報合同研究室


2024年11月18日(月) [2024年度第3回数理科学談話会]
16:10 - 17:10
自由エネルギー解析で紐解くソフト多孔性錯体のゲート吸着現象
講演者:平出 翔太郎 氏 (京都大学大学院 工学研究科 化学工学専攻 助教)
構造柔軟性を有するソフト多孔性錯体は構造転移を伴う吸着挙動を示す。 本研究ではこのゲート吸着と呼ばれる現象のメカニズムを自由エネルギーの観点から解明することを試みる。
世話人:二村 竜祐(理学系)
会場:信州大学理学部A棟4階数理自然情報合同研究室


2024年11月12日(火) [2024年度第2回数理科学談話会]
16:20 - 17:20
Mirzakhani-McShane identity and String field theory
講演者:石橋 延幸 氏 (筑波大学数理物質系教授)
超弦理論が活発に研究されるようになって40年になるが、この理論を記述する方程式・作用は何かということは実はまだよくわかっていない。この方程式・作用を作るために、通常の点粒子の場の理論を拡張して、弦理論を記述する弦の場の理論(string field theory)を作ろうというアプローチがある。
 弦の場の理論を作る際に重要なのは、弦のファインマングラフにあたるリーマン面を簡単な構成要素に分解するルールを与えることである。このようなルールとして、リーマン面をパンツの形の境界付き面に分解する方法が数学において古くから知られている。ところが、このパンツ分解を用いて弦の場の理論を作ろうとすると問題があることが指摘されていた。
 このコロキウムでは、リーマン面のモジュライ空間の体積の計算においてMirzakhaniによって提案された方法を応用することにより、 上記の問題を解決し、簡単な形の弦の場の理論を作ることができることを示す。
世話人:奥山 和美(理学系)
キーワード:弦の場の理論、リーマン面のモジュライ空間
講師の専門分野:素粒子理論、弦理論
会場:信州大学理学部A棟4階数理自然情報合同研究室


2024年10月15日(火) [2024年度 第1回数理科学談話会]
14:40 - 16:10
耐量子計算機暗号の構成法と安全性評価
講演者:高島 克幸 氏 (早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授)
大規模な量子コンピュータが実現すれば,これまで広く使われてきた公開鍵暗号が解読される危険性が指摘されている.その対策として,量子コンピュータでも効率的に解けない数学問題の計算困難性に基づく暗号(耐量子計算機暗号)の研究が活発に行われている.
 本講演では,その候補である格子暗号とその数理基盤について紹介する.まず,格子に基づく暗号化方式・署名方式を概観する.そして,実際には,演算効率向上のために加群格子・イデアル格子といった代数的な格子に基づいて暗号構成が行われていることを説明する.次に,そのような暗号方式の安全性の基盤となるイデアル格子上の最短ベクトル探索問題に対する Cramer らによる多項式時間量子アルゴリズムを紹介して,最後に,関連する最近の私の取り組みも紹介する.
世話人:宮西 吉久(理学系)
キーワード:公開鍵暗号,耐量子計算機暗号,格子暗号,最短ベクトル探索問題
講師の専門分野:暗号理論,計算整数論
会場:信州大学理学部A棟4階数理自然情報合同研究室